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2015年11月24日 (火)

男一匹元気が出るディスコシリーズ EoSのお知らせ

男一匹元気が出るディスコシリーズ EoSのお知らせ

平素より同人誌サークル男一匹元気が出るディスコをご愛顧頂きありがとうございます。
下記同人誌の販売終了をお知らせいたします。

同人誌名
男一匹元気が出るディスコ
(Season1)
販売終了日 2015年11月23日


ご参加いただいた方々へ
販売終了につき、各作品の掲載は自由に取り扱っていただき結構になります。
各々のサイト・同人誌・投稿サイトへの掲載は自由になります。
ご連絡が大変遅くなり、誠に申し訳ございません。

また、Season2・3のEoS予定は下記になります。

突撃! 放課後オールスター
(Season2)
販売終了日 2016年6月1日

史上最大! ぜんまい仕掛けの流星フェスティバル
(Season3)
販売終了日 2016年12月31日

こちらも、既に販売から1年以上経つために、上記と同じく作品掲載をご自由に取り扱っていただき結構になります。

(ただし、クロフネの作品は他媒体への掲載予定なしとなります)

以上

2014年11月12日 (水)

史上最大! ぜんまい仕掛けの流星フェスティバル まとめ

つ2014年 秋 男一匹元気が出るディスコ Season3

「史上最大! ぜんまい仕掛けの流星フェスティバル」

情報をまとめます。

初売り
2014年11月23日(日)
コミティア110
スペース№ し57b

2014年11月24日(祝)
第19回文学フリマ
ウ-25 Fホール(2F)

追加公演
コミケにて委託販売決定!

1日目、西ぬ07b 『はろぅ、わぁるど!』 様にて委託販売します。

更に追加公演決定!!

次回は4月19日の文学フリマ金沢にて。
スペースナンバーは「い―33」になります。


価格 800円

Hyoshis_2_1
表紙担当は 黒井みつ豆 !

ポイント

・読者がお題を出して、作家が読者からのお題を元に創作。
 →読者が挑戦状を出し、作家がその挑戦に挑む
  その結果を実際の作品を読んで確かめる
・爽やかな青春とコミカルなドタバタ劇が織りなす学園文化祭
・新しい創作方法を生み出そうとする同人誌

作品サンプルとクロフネの解説

保スカ
(pixiv)
「オモテナシ朝顔」
OGD初のマンガ。
すごく穏やかな空気が流れていて、作中出てくる部長と同じくなんだか落ち着いてくる。
作品内の流れにメリハリが効いていて、読み心地が抜群。その穏やかで爽やかな空気によいしれるといい。
化学部部長の心境の変化に読者も応援してみたくなるかも。

湯浅祥司
「まぼろしの美少女を追え」
Season2に引き続き湯浅氏のコメディーが炸裂。
美少女コンテストを荒らしたまぼろしの美少女を追いかけ、文化祭を舞台にハチャメチャラブ(?)コメディーが展開する。
旅行記や乗り物だけが湯浅さんの領域じゃないことを表すには十分な作品。
前回見せた抜群のコメディー力は今回も健在。
次々と繰り出される(いい意味での)くだらなさは読んでいて飽きない。

笑町儲弓彌
「消された魔法」
某書店店長が書いたライトノベルだ!
普段は純文学であり、本屋に並ぶ本もまた難いものが多いだけに、そんな店長が書いたラノベというだけでも必読である。
予想外にラノベの空気が醸し出され脱帽。
店長の器用さがうかがい知れる一作。
魔法や召喚獣でのバトルモノが好きな方はどうぞ。

クロフネ3世 その1 その2
「文化祭の休日」
地方と都市との融合。地方の生き残りを模索した作品。
という大袈裟なテーマは置いておいて。
クロフネ作品には珍しい、恋愛要素が盛り込まれている。主体は、文化祭と地方のイベントを巡っての若さ溢れる青春モノ。

宮海 勝乃
「侵略する帰宅部たち」
お待ちかね。宮海さん、Season1以来の登場だ!
スピード感あふれるコメディーもの。普段のイメージはミステリーやSFのため、コメディーの印象は薄いものの、なかなかの達人。
某小説大賞にこだわらなければデビューしていてもおかしくないのではと個人的に思っている。
作中の帰宅部のごとく、我々読者の心理を侵略してくるほどのパワーを持った作品。

ニセ生物
「伝説の樹の下の下で」
もはや、男一匹元気が出るディスコには欠かせなくなった存在。シリーズ全3冊すべてを制覇中。
この男のコーナーを読まなければ、この同人誌を読み終えた内には入らない。同人誌の防波堤。ディスコの大巨人。
ある意味で、一番企画の趣旨にはまったコーナーを担当。同人誌でネタ投稿コーナーがあるのなんて他にどれだけあるだろうか?
ネタ投稿コーナーなだけに、サンプルが載せられないのは残念。
最後は笑って終えるのに限る。

(敬称略)


企画に関しての記事一覧 ↓

企画を動かすに当たり、どういう意気込みだったのか

この作品にあたっての募集要項
(↑企画内容を知りたい方はこちらをお読みいただければ)

読者からアイデアを募集した企画概要
(今回は、読者から作品の序盤プロットを募集する、読者参加型企画を実施)

お題一覧

お題割振りの結果

Ogd_sam

サークルカット協力 ぴすどり

2014年11月10日 (月)

文化祭の休日 サンプル其の2(クロフネ3世 作)

 文化祭の日が近づいてくるにつれて、愛未はとある不安にまとわりつかれ、日に日にその不安に心を侵食されつつある。それは、ダンスがうまく踊れないなんてちゃちなものじゃない。ダンスなら時間をかければ何とか仕上げてみせる自信はそれなりにあった。だが、愛未一人が努力してもどうにもならないことがあった。それが、愛未を日に日に悩ませるのである。
 同じクラスメイトの岡田巧太だ。巧太こそが、愛未を悩ませる張本人である。
 それは、恋心という分かりやすい単語で表現できるものではない。
 いや、正確に言えばそれも含まれる。だが、恋心をも凌駕する問題を巧太は抱えている。
 ダンスの練習にまったく参加しないのである。
 夏休み前から練習は徐々に始まっていたのだが、その頃から一度たりとも巧太は練習に参加していない。だからこそ、愛未は悩んでいる。いや、愛未だけでない。クラスの誰もが巧太の態度には問題視していた。担任の富井も、生徒達から巧太の話題を出されるとくしゃりと表情を潰して黙り込んでしまうのである。
 もちろん、今まで何度も巧太にはダンス練習へ参加するように忠告が入れられていた。文化祭実行委員長の斉田姫香も、半ば怒鳴るように参加するように詰め寄っていた。最後には奇声を上げるほどに必死になっていたのを愛未はよく覚えている。
 だが、それでも巧太は練習に参加しようとしない。
 しかも、この状況は去年から引き続きなのだ。
 去年、つまりは愛未や巧太が一年生のときも文化祭では踊りの練習が課せられ、巧太は練習に参加せず本番でも文化祭自体を放棄した。
 理由は愛未もよく分かっていない。
 聞いたところで
「文化祭って、祝日だろ?」
 とよく分からない返答が帰ってくるだけなのだ。もう何度もそのやり取りがなされていたため、一時は愛未も半ば諦め気味で巧太のそっけない態度を見つめていた。
 幸いなのは、まだ卒業生達が巧太の存在に気が付いていないことだ。最初からずっと姿を現していないから、巧太の存在はないものになっている。クラスメイトも誰も触れようとはしない。触れれば事態が必要以上に面倒になることは目に見えているからである。
 けれども、一度でも知れ渡ってしまえばどうなるだろうか。特に、あの船水先輩に知れてしまえば。強引な船水先輩の性格からして、絶対になんとしてでも参加させようとするに違いない。でも、巧太もかなり頑固なところがあるから。その二人が全面対決となると……。
 そう考えると、愛未は落ち着かなくなってしまう。船水先輩と巧太の対決は避けないといけない。文化祭は円満に終えたい。そして、あわよくば……。
 考えれば考えるほど、愛未の気持ちは複雑に糸が絡み合うかのようにややこしく変貌して行き、本人でも抑えようのないそれに変わっていくのである。
 とにかく、もう一度巧太にアタックしてみるか。
 愛未は、自分のベッドで寝転がりながら決意を固めると、上半身だけを起こしサイドテーブルに置いていたカバンを取り上げる。そして、カバンの端っこにぶら下げていた何本かあるキャラクターストラップの内一つをそっと掴むのだ。少し塗装が剥げたおにぎり型のキャラ人形。それを握っていると、どことなくだが心の底から滾ってくる気持ちを感じられるのだ。
「うん、これならいけるいける」

 その日最後の授業が終わり掃除も一通り終えると、残りは簡単なHRのみである。
 だが、愛未はこのHRを少し緊張した面持ちで迎えていた。
 本当は、昼休みには巧太に練習へ参加するようにもう一度忠告しようと構えていたのだが、なかなかタイミングが合わずにこの時間まで引っ張ってしまったのだ。残るは、HRが終了後のタイミングのみであるが、愛未はだからこそ緊張感を高めていた。
 なぜなら、全ては巧太のあだ名が語っている。

 十五時四十分の男

 それが巧太のあだ名である。巧太自身は気が付いていないが、クラスの大勢が彼のことを影でそう呼んでいる。
 十五時四十分といえば、最後のHRが終わる時間。その時間になるや否や、巧太は逃げるようにして帰宅してしまうのである。部活も委員会も入っていない。放課後、無意味にクラスメイトと世間話をすることもない。まるで学校に残っていることが罪だといわんばかりに颯爽と教室を後にしてしまう。
 だからこそ、愛未は緊張していた。声を掛けるタイミングが遅れてしまえば、巧太に隙を見せてしまえば易々と逃がすことになってしまうのだ。そうなれば、またモヤモヤとした気持ちを抱えながら夜を迎えなければならなくなる。こんな気持ちは、さっさと巧太に放り投げてしまいたい。
 時計の針は、既に十五時三十五分を過ぎていた。もう時間はない。
 富井先生が簡単に連絡事項を済ませる。
「他に何かあるか?」
 富井先生の問い掛けに誰もが黙り込む。
 富井先生、もう一度やる気のない目線を教室一帯に投げかける。
 刹那的に静まる教室。もちろん、巧太もじっとしている。
「よし、じゃあ解散。また明日」
 富井先生が締めの言葉を放った。
 その瞬間、巧太の体が弾かれるように反応する。競馬なら抜群のスタートダッシュだ。そのまま端に立てる。逃げ馬タイプの巧太には理想的な動きを決められたのだろう。
 流れるようにして机脇に下げていたカバンを掴み、必要最低限の小物をカバンに詰め込む。この間、一分弱。いや、三十秒とかかっていない。
 改めて愛未が動きを観察すると、その速さに圧倒される。何がここまで彼に速い動きをもたらしているのだろうか。
 いや、そんな疑問をもたげている暇はない。気づけば、巧太は既に教室を出るための一歩を踏み出していた。
 慌てて愛未は立ち上がり巧太の進路に飛び出す。あまりに慌てたために半ばタックルするかのように愛未と巧太は接触してしまった。巧太は少しよろめいた程度で済んだが、愛未は勢いに負けてすぐ側にいたクラスメイトにも派手にぶつかっていた。
「ごっ、ごめんね! 大丈夫?」
 慌てて愛未は頭を下げるが、それを横目にして巧太が教室を出ていこうとするものだから、更に慌てて愛未は声を上げる。
「ちょっ! ちょっと待った!」
「ちょっと待ったコールだ!」
 バブルを知った富井先生だけが反応したが、誰も富井先生のことなど見ていない。
 みんな、愛未と巧太の二人に視線を向けていた。
「なんだよ?」
「……なんでもねーよ」
「志村けんの方か!」
 また三十代の富井だけが反応し天を仰いたが、もはや独り言の領域になっていた。ネタが古いしいつものことなので気にする者はいない。
 愛未の一言を聞くと、巧太はすぐに踵を返して教室を出て行く。
 違う違う、そうじゃない。なんで私は否定する!
 自分で自分に怒りをぶつけながら愛未は後を追う。
 急いで廊下に出ると、まだ巧太はすぐそこにいた。
「待って!」
「……だから、何だよ?」
「ちょっと、練習は?」
 愛未の言葉は自然ときつくなっていた。
「あ? 用事あるから……」
 巧太は、少しだけ眉をゆがめながら返答した。戸惑いというよりは、面倒だと言いたげにも感じられる態度である。
「巧太も神代市民でしょ? 文化祭参加しないと」
「文化祭は祝日……いや、祝祭日だよ!」
「またそれ? どういう意味?」
「意味って、そのままだよ。文化祭は祝祭日なのさ。だから、俺はちゃんと俺なりの準備をこなしているんだ。お前達はお前達で文化祭やってればいいだろ」
 そこで、巧太はまた玄関に向かって歩き始める。
「ちょっと、本当にどういう意味? そんな態度、分からないよ? あんたの熱意、滾ってるの?」
 その愛未の一言に、巧太は振り向かずに手を振り上げて応える。
「俺はいつだって熱々に滾っているよ。出来立て焼きおにぎりみたいにさ!」
 その力強い後姿に、愛未は諦めとともにどうしようもない懐かしさを覚えて、その複雑な心境にただじっと佇んでいるしかなかった。

 放課後の自主練習は、どことなく剣呑とした空気が滲んでいた。その空気は、愛未自身が一番感じてるに違いない。なぜなら、その険悪な空気を作り出した人間の一人こそが愛未だからと自覚があるからだ。愛未が巧太に練習の誘いをかけ、皆の視線が集まる場所で失敗に終わったからこその重たい空気。巧太が練習に参加しないのは誰もがもはや常識としていたが、改めて巧太の傲慢とも思える態度を目の当たりにされてしまうと、必死になって練習すればするほど巧太への不満を募らせてしまうものだ。
 愛未は、そんな空気の中でただ黙々と動きのおさらいを一つ一つ確かめているしかなかった。
「あっ! ミスった!」
 誰かが振りを間違えて机を叩きながら悔しがる。先ほどからたびたび誰かが大きなミスをしてダンスが止まってしまい、なかなかうまくいかない。
「ちくしょう! 俺、家帰ったら親の手伝いがあるんだよな……練習しないで帰れる奴はいいよな」
 ミスった一人が愚痴をこぼした。誰もが頭の隅に抱えてはいたものの、誰もが口に出すのをはばかっていた。出してしまえば、この場の空気が崩壊するのはわかっていたからだ。
 しかし、今こうして一人の口から放たれてしまった。
「なんで巧太は許されるんだよ。都会経験者は違うってか? 田舎者は踊っていろってか?」
 他の人間からも不満の声が上がった。
「まったくだよ。いい加減にしろよな。どこで遊んでやがるんだよ」
 別のところからも声が上がる。それを聞いて、直接的な批判でもないのに愛未は申し訳なさそうに教室の端に引っ込んでしまう。
「ちゃうよ。巧太は違う文化祭の準備で忙しいんだよ」
 そんな重たい空気にも関わらずに、空気を読まない素っ頓狂な声が上がった。こんなときにこんな一言を放てるのは決まっている。桃しかいない。
 桃は、それこそ素っ頓狂に笑顔で文句をこぼしている男子生徒に話し掛けていた。
「阿部ちゃん、意味わかんなーい。阿部ちゃんの言うことは通訳が必要なんだな。違う文化祭って、日本語でなんていうんですか? サボりですか? エスケープですか?」
 一人があからさまにからかうようにしてとぼけた表情を作り、桃の前で両手を広げて桃の顔の前でひらひらさせた。馬鹿にする態度なのだが、それでも動じない、というよりも意味を理解できていないのか桃は笑顔のままでいる。
「違うぞ。日本語だ。あちし、日本語しか喋れないし」
 ああ、もう!
 桃のそんな態度を見て堪らずに愛未は桃に走り寄る。
「はーい、お邪魔しました。なんか変なこと言ってますけど、気にしないでくださいよ」
「おっ、保護者か? ちゃんと面倒見ろよ。これだから最近の若い母親は……」
 お前も同じ高校生だろ。
 という突っ込みは心の中だけにする。そもそも、母親じゃないし。
 愛未は、苦笑いのまま桃の背中を強引に押しながら、そのまま教室の外に退出した。
「なんだよ、桃はまだ巧太のこと言い終わってないぞ」
「はいはい、こういう時は一回引くの。あんたもいい加減に空気を読めるようになりなさいな」
 愛未の一言に、桃はあからさまに不満そうな表情を見せたが、この空気はそこで終わる。
「よーし、先生は空気を読んで、差し入れをここで持ち込んじゃおうかな」
 富井が陽気な足取りで愛未と桃の前を通り過ぎていく。手にはコンビニで買い込んだらしき大きく膨らんだ袋が下がっている。
「よし、みんなここでブレイクタイムだ! ハブアブレイク! ギブミーアブレイクは大橋巨泉だぞ! ここ、テストに出す……わけねーだろ!」
 クラス中の視線が富井の袋に集中する。もちろん、富井の発言は後半部分が無視される。
 飢えたワニが潜む川に生肉を投げ入れたかのごとく、富井はあっという間に生徒達に囲まれてしまう。
「さすがトミー! ギャグセンスはついていけないけど、こういうところはどこまでもついていくよ!」
「きゃっ! やっ、やめて……やさしく殺して……やさしく殺して……」
 次々と伸びる生徒達の手に富井はもみくちゃにされ、あっという間に袋の中身は殆どなくなった。まさに、飢えたワニのごとく、だ。
 収穫を得た生徒達は、自分の席だったり友達の机上にと腰掛けて手に入れた獲物たちを味わい出している。
 そこに、遅れた愛未と桃がゆっくりと教室内に入ってくる。
「あのー……私達にも」
「あちしにも、なんかくれ。腹減ったぞ!」
 二人が袋の中をそっと覗いてみる。
「まだ何か残っていたかな? 一応、人数分は買ったはずだから……あっ、おにぎりあるじゃん」
 富井は、袋の底に残っていたおにぎり二つを取り出して愛未と桃の二人に手渡した。
「おお! おにぎりだ!」
 受け取った桃はすぐさま封を開けおにぎりを頬張りだす。すぐに桃のおにぎりは体内へと引き込まれていきそうだ。
 それを見てなのか、愛未は自身のおにぎりを桃の前に突き出す。
「おお! いいのか?」
「いいよ。私いらないから。食べな」
「遠慮なくいただくぞ!」
 愛未の差し出したおにぎりを、桃は嬉々とした顔で受け取りVTRで再現するかのようにほぼ同じ動きでおにぎりを頬張り始めた。
 愛未の表情はどこか寂しさを感じられた。それだけに、富井はその表情に気が付くと話し掛けずにはいられない。
「なんだ、腹減ってないのか? それとも、シーチキンが気に入らないとか」
「ああ、そういうんじゃないんです。ただ……おにぎりは暖かくないとダメなんですよ」
「なんだ、それ? 意外と贅沢なんだな」
「あっ、ごめんなさい。私、厚かましいこと言ってますよね。人から貰っておいて、こんなこと」
 愛未は、そこで自分の発言の意味に気が付き頭を下げる。
「いやいや、気にしないで。今度からはちゃんと暖めてもらうか最初からあったかい食べ物買ってくるからさ」
「あっ、いや、そういうんでもなくて……」
 急にはっきりとしなくなった愛未の態度に、富井はいぶかしげな表情を浮かべる。
「ええ? じゃあ、なによ?」
「……いや、まあ……昔観たアニメで、そういうのがあったんです」
「あちし知ってる! 焼きおにぎり五郎丸でしょ! きたきたきた、滾ってきたー!」
 おにぎりを食べ終わったのか、桃が急に会話に割って入り、何やら叫ぶと体を大きく後ろに反らすポーズをとった。
「なんだ、そりゃ? 中邑真輔の真似か?」
「ご指摘の通りに桃がやってるのは半分入ってけど、そういうんじゃないです。子供向けですから、別にボマイェとかやらないですから。滾ってきたが口癖のキャラクターです。熱血漢という性格だから、いつも頭のおにぎりが熱々で湯気が出てるんですよ。私、そのキャラが好きで……」
「ははぁん。先生、平成のアニメは詳しくないけど、そういうの、わかるな。先生も、子供の頃そういうのあったよ。ロボダッチとかさ」
「昭和っ! そういうんじゃないんですよね……」
 愛未は、渋い表情で富井の分かりましたよといわんばかりに頷いている様を睨む。
 この人は、すぐに古いデータベースを参照しようとする。意識だけを昭和に置き忘れているんだ。だから、あだながトミー(副部長)なんだよな。
 愛未は、呆れた声を心の中だけで呟く。
「こう、もっと情熱的なところが惹かれるんですよ。ぐいぐい強引にいく感じで」
「ああ、岡田巧太のことね。なるほどなるほど」
「……え? いっ、いや、なんで巧太の名前がそこで?」
 目を丸くして驚く愛未。別に特定の人間の話をしているつもりではないのに。
 また、わかったぞといやらしい目をする富井が気持ち悪く見えて余計に不可解だ。
「お前、今日は放課後になるや否や岡田に慌てて話し掛けていたじゃんかよ。岡田って、変なところもあるけど今言ったみたいに強引で力強いとこあるじゃんか。まさに、滾ってる感じがモロに出てるしさ。興味あることに猪突猛進になるタイプだよ。そこがいいんだろ?」
 イヤァオ!
 愛未は心の中で思いっきりボマイェをぶちかましてやった。
 一番スゲェーのプロレスだって教えてやろうか?
 そんな気持ちを隠しながら、愛未は引きつった笑顔を浮かべて富井に切り返す。
「いや、焼きおにぎり五郎丸と巧太関係ないですし」
「関係あるぞ。巧太も愛未と同じの持ってるぞ。焼きおにぎり五郎丸のストラップ持ってるぞ」
 思わぬところから不意打ちを喰らう。見れば、桃が嬉しそうにして桃のカバンを持ってきていた。カバンの脇には、焼きおにぎり五郎丸のストラップが下がっている。
「なんで持ってくるのよ。もう、桃は黙ってて!」
 愛未は強引に桃から自分のカバンを奪って抱きかかえる。桃は反省する態度も見せずに走って教室を抜け出した。
「よーし、分かった!」
 そこで、富井はポンと手の平を打ち、そのまま突き出した。その言動もどことなく昭和らしさが見えた。
「お前は、今度の休みに駅前商店街のエンゼルという喫茶店に行ってみろ。そうだよ、そんなに滾りたいなら行ってみろ。責任は先生が持つ」
「え? いやっ、どういうこと?」
「岡田だよ。滾ってんだよ。今だって、みんなが見ていない場所でしっかりと燃え滾っているんだ。それこそ、その五郎丸のように」
「いやいや、だから、どういう意味ですか? 全然わかんない」
 愛未は、両手を広げて困った姿勢を見せる。
「いいから、休みになったら駅前商店街のエンゼル、な?」
 そこで、富井は一人満足そうな笑顔を愛未に見せた。
 愛未は、ますます不可解な話の展開に半分泣きそうな表情を作るしかなかった。



2014年11月 9日 (日)

文化祭の休日 サンプル-1

「なにそれ、違うって! もっと、昇竜拳だって船水先輩怒鳴ってたじゃんよ」
 七尾愛未は曲に合わせて力いっぱい飛び跳ねたつもりであったが、一緒に練習していたクラスメイトの胡桃屋沙紀が呆れたかのように半笑いで愛未の背後から忠告してきた。それを聞いて、愛未は少し疲れた表情を浮かべながらうんざりと自分の椅子にドカリと腰掛ける。どうしても、飛び跳ねるごとに忠告が入って全然練習が先へ進めない。確かに、愛未の飛び跳ね方も指摘されたとおりに小さすぎるのだが、胡桃屋の忠告の仕方がどうも気に入らずになかなか強いジャンプを意識し切れないでいるのだ。
 時計を一瞥すれば、時刻は既に十七時を少し過ぎたところだ。もう一時間以上は練習していることになる。
 愛未は、もう一度鼻で大きく息を吐き出すと、胡桃屋の顔を睨んでやる。
「だから、そもそもその昇竜拳が分からないのよ。なに、昇竜拳って?」
「知らないよ。船水先輩に聞いてよ。とにかくさ、愛未のジャンプは小さくて勢いが足りないのよ。こう、なんつーかさ、花火がはじけるような気持ちで飛び跳ねてくれない? じゃないと、私達とのリズムというか、親和性? 俺達の友情とグルーヴが世界を動かしていく? よく分かんないけど、見た目きれいじゃないのよ。じゃないと、また船水先輩怒鳴るでしょ」
 胡桃屋の言葉は、半分が船水の口調を真似たそれであり、どこかその話す態度もふてぶてしく女子高生らしさがない。それがまた愛未をイラつかせる。
 愛未は、その言葉にもう一度心の中で溜息を吐き出す。胡桃屋は、少し船水の発言に臆病になりすぎだ。船水は既にもう何年も前に愛未の高校を卒業している。卒業生というだけで現役の生徒達に絶対的な関係など微塵もない。だが、何故か船水やその他数名の卒業生達は、夏休み直前から学校に顔を見せるようになり、現役の生徒達に踊りの指導をするようになっていた。それは、今年に限ったことでない。去年の同じ時期にも卒業生の何人かが学校に現れて踊りの指導をしてくるようになった。そして、文化祭が終わると同時に彼らは消えていくのだ。

「神代中央高校の文化は現役生が継続・発展させ、卒業生が補助する。それが戦前からあるこの学校の伝統なんだ。伝説の継続こそが、俺達卒業生に課せられた使命なんだぞ。お前ら、それを胸に気合入れて練習しろ!」

 このような言葉はもう何度も愛未は耳にしている。頭の中で反響しそうで、先輩達が口を開けば耳を塞ぎたくなる衝動に駆られる。
 そう、全ては十月頭に控えた文化祭のせい。
 神代中央高校伝統のイベント『神代竜宮祭』
 鯛や平目の舞い踊り、というわけではないものの、愛未の通う神代中央高校ではもう何十年と、文化祭で竜宮の舞を踊ることが決められていた。そして、その指導に当たるのが歴代の卒業生なのである。その卒業生の一人に、愛未や胡桃屋が先ほどから口に出している船水先輩がいるのである。船水先輩は、最近仕事を辞めたばかりのためか、頻繁に練習へ顔を出しては現役生達を厳しく指導している。そのノリは、明らかに体育会系であり、上下関係を中心とした仲間内でのやり取りを重んじている。その過度な態度と船水先輩が掲げる理想像は、愛未にとってはただ鬱陶しいだけであった。
 だが、胡桃屋を中心とした他の連中はあまり気にしていない様子である。むしろ、先輩に積極的に話しかけ指導を貰い、関係をより厚いものへと構築しようとしているかのようだ。その態度が、愛未には不思議でならなかった。それでも、文化祭を拒否するわけにもいかず、踊り以外は自分の理想とする文化祭がしっかりと行われようとしている。つまり、踊りさえしっかりとこなせれば何の問題もないのだ。だからこそ、愛未はもう一度しっかりと飛べるようにと席から立ち上がり苦手な箇所へと再チャレンジしようとする。
 曲が盛り上がり、段々とジャンプするタイミングが近づいてくる。
 今だ!
 愛未が腰をかがめ、膝に力をためて一気に吐き出そうとしたその刹那
「昇竜拳!」
 飛び跳ねようとした瞬間に、愛未の背後から飛びつくようにして愛未よりも高く飛び跳ねてくる者がいた。
「てい!」
 更に、もはや飛び跳ねるのではなくただ体をぶつける者までも現れる。そのために、愛未の体はよろけて近くの机に突っ伏すかのように倒れこんだ。
「ちょっと、なによ!」
 愛未は、慌てて体勢を立て直しながら文句を上げる。
 そこには、一人の背が高くがっちりとした体格の男子と、小学生が紛れ込んできたのではと見間違うかのように小柄な女子が二人はしゃいでいた。
「俺、エクスカイザーのアラヤっす!」
 そう言って、背の高いお調子者の男子はその大きな体格をコマのように回転させながら教室中をぐるぐると回りだす。エクスカイザーといえば、最近高校生の間で流行っている、いわゆるイケメン揃いのダンスユニットなのだが、その高校生の姿はただの台風を題材にした下手くそなパントマイムにしか見えなかった。それでも、何人かの男子がその姿に「いいぞ!」と囃す声を掛けている。その光景に、愛未は今日何度目かの溜息を吐き出すしかなかった。
「九重、うぜーよ!」
 胡桃屋がその男子に向かって叫んでいたが、九重と呼ばれた男は調子に乗りすぎてやめる気配を見せなかった。
「よし、あちしはパズーだ! お前ら、全員地方のゆるキャラにして、地方財政を無駄にしてやる!」
 九重と一緒に愛未の練習を邪魔したもう一人の小柄な女子が、今度は教壇に飛び乗って叫んだ。両手を腰にやり、ない胸を堂々と突き出している様は力強いが、クラスメイトは皆その姿を一瞥してどうしたものかと困った様子である。都心の一部のみで流行っている超が付くほどのマニアックなアイドルユニットの名前を出して真似ているようだが、誰も元ネタなど知らずに空気が微妙なそれに変貌しつつあるのだ。
「ああ、もう分かったから。桃、机から降りろ。こっちへ来い」
 愛未だけが冷静になり、小柄な桃を教室の端に呼び出した。
 そして、そのまま強制的に廊下へと退出する。
 二人が廊下へ姿を消すと、また九重が調子に乗ったパフォーマンスを見せて男子達が変な盛り上がりを見せだすのだ。
 その空気を肌に感じ、更には状況を明らかに察していない桃の満面の笑顔を見て、愛未はその耐え切れない気持ちを思わず体の外へと思いっきり発射するんである。
「昇竜拳!」
「おお!」
 愛未の今までの中で一番綺麗なジャンプに、桃は純粋な驚きの声を上げるのだ。

消された魔法 サンプル

 一番下の妹が泣いている。
 うるさい。
 二番目の妹に何かを訴えているようだ。
 しかし、うるさい。
 階段を駆け上がってくる音が近づく。
 三番目の・・・いや、私に近づく。ボロい家に足音が響く。
「お姉ちゃんのばかぁ」
「あたしは、ばかじゃない」
「だってだってー」
「何があったのさ」
 一番下の妹は、泣くのを堪えながら、説明する。
「それで、そのアニメを消したのがあたしだってこと?」
 泣くのを堪えながら、一番下の妹が頷く。
 あたしは、椅子から勢いをつけて立ち上がる。
「それは、申し訳ない。でも、あんたそんなの簡単に処理できるでしょ」
 一番下の妹は、まだ少し泣いている。嗚咽を堪えながら、何か良いたそうに口をパクパクする。
「そうかそうか。まだなのか。あんたさ、いま何年生なのよ」
「ロク」
「六年生だったらさ、それくらいできるでしょ」
「まだ習ってないもん」
「習うとか習わないとかさ、そんなこと言ってたら生きていけないよ、本当」
 また泣き出しそうな顔をしたので、これ以上うるさくなると、あたしの人生に影響が出そうなので、問題を対処することにした。
「で、そのテープはどれ?」
 一番下の妹は、一瞬嬉しそうな表情を見せたが、今度は馬鹿にした風に口元を緩めて首を横に振った。
「何?」
「ブルーレイ」
 そう言って、円盤状のメディアをあたしの前に突き出した。
 こいつのこういうところが、本当に嫌いだ。それでも怒りを堪えて、あたしはポケットに入れてあったスプーンを取り出す。
「レドモニトモヨガクロ!」
「これでプリティームーン見れるの?」
あたしは、胸を張って、頷く。
 そう、あたしは魔法使いなのである。
 高校三年生で、今年受験生。家族構成は、父、母、妹二人に犬と猫のハーフの生き物一匹で生活しているごく普通の魔法使いなのである。
 しかし、あたしが受ける予定の大学の試験では魔法は使えないのである。これが本当に困った。けど、その大学に行きたいのだから仕方がない。もちろん、どうにか抜け道がないか、超調べたんだけど。魔法とかネットとか使って。まあ、要約すると「魔法を封印する魔法」をかけられるらしい。しかも、超上級魔法らしい。それを覆す魔法を習得するのは……無理。普通に勉強した方が良いのだ。
 そんな訳で、くそまじめに勉強している。が、なかなか集中できない。集中し始めると邪魔が入る。
 そう、また階段を駆け上る足音が聞こえる。
「お姉ちゃんのばかぁ」
「なんでよ、さっき直してあげたじゃん」
「これ来週のだよー」
「お、それは失礼」
 そういうこともたまにある。だって、消しちゃった録画を戻す魔法なんて、いまどき使わない。そんなのネットで探してダウンロードして見ればいい。
「もう先がわかっちゃったー」
「そもそもアニメの展開なんて、同じようなものだから、だいたいわかるでしょうが!」
 ついついイライラして怒鳴ってしまった。案の定、一番下の妹は、今にも泣きださんばかりの顔をしている。んーほっといても良いけど、母上に怒られるなぁ。
 面倒くさいけど、対処しよう。
「ごめんごめん。もういちど直してあげるね」
「さきわかっちゃんだよーつまんないよー」
「大丈夫大丈夫」
「レドモニトモブンゼ!」
 目の前から、一番下の妹が消える。
 そう、最初から元に戻したのである。
 ん、最初?どこが最初?ん、やばくない?ま、いっか……。

         ☆

 夏休みが明けて久しぶりの登校日。高校生活最後の夏を終えて、みんな何か変化あったかな、なんて思ったりしたけど、進学校なので大半の生徒が受験勉強だったはずだ。
「おはよーマミ」
「おはよう、玉須川」
玉須川は、あたしの幼馴染、腐れ縁と言った感じ。クラスが違うことはあっが、かれこれ十五年以上も一緒にいる。とても優秀で、性格も良い。悪いところは、目くらいか。それも顔つきではなくて、視力の方だ。
「マミちゃん、なんか太ったみたい」
「ゾスロ……、痛い痛い」
途中まで言いかけたところで、玉須川による蹴りを喰らう。そうそう、彼女は、魔法よりも手が先に出る。魔法使いらしくない。別に、魔法が苦手なこともない、むしろ得意な方で、県内でも一位か二位。大学進学志望って話だけど、魔法省に就職の話もあるらしい。玉須川は両親が早く亡くなり、いまは養子として育ててもらっているので、進学を悩んでいるらしい。進学するなら特待生で入って負担を減らすんだとか。出来すぎた子なのだ。
そういえば、玉須川の両親が亡くなったのはいつだったかな。ふと、そんなことを考えてい

た。
「あのさ、変な魔法ばかり覚えてないでさ、ちゃんと受験勉強しないとだめだよー」
「さっきのは適当だよーさすがに殺人魔法は、ないない」
そう口にした途端、同じ通学路を歩く学生たちからの視線が集まった。
さすがに「殺人魔法」はまずい。禁止魔術である。
禁止魔術、簡単に言えば規則違反の魔法である。
ロボット三原則よろしく、魔法三原則なるものがあたしが生まれるずっとずっと前に定められた。魔法学校に入学すると同時に教えらえる。いや、正確に言えば、生まれて初めて魔法を使うことになるその日に、魔法省長官から手紙が来る。

『マホウつかいのやくそく
1、    マホウつかいは、マホウでヒトにキガイをくわえてはならない。
2、    マホウつかいは、ナカマをタイセツにしなければならない。
3、    マホウつかいは、ジブンをマモらなければならない。
以上
       魔法省長官                 』

 懐かしい。懐かしすぎる。そうだ、あれはあたしが4歳の時だ。母が嬉しそうに、何度も何度も読み聞かせてくれた。父も嬉しそうに声を出して読んでいたっけ。当時は、最年少なんじゃないかと、町で少しだけ話題になったんだった。なんかすっかり忘れてた初めて魔法を使った日のこととか思い出してきた。
「もう、一人の世界に入ってないでよ。私も一緒に変な目で見られちゃったじゃん」
 バシバシと肩を叩きながら訴え続ける玉須川を横目に、あたしは思い出に浸っていた。
 懐かしい!懐かしい!懐かしい!初めての魔法!初めての発火!初めての飛行!初めての……。
 玉須川がまだ肩を叩き続けている。しょうがないので我に返ることにする。
駅から続く長い坂道を上りきると、学校が見えてくる。
学校校舎がそこに現れる。
箒に跨って登校するものもいない。
とんがり帽子をかぶったものもいない。
黒猫を連れているものもいない。
丸メガネでマフラーのものもいない。
大きなボロボロの本をもったものもいない。
断崖絶壁にそびえたってもいない。
それがあたしの通う魔法学校である。
校門をくぐると、約一か月ぶりの学校の香りを感じた。文化の香りなんて高尚なものではなくて、土埃や野外部活をする生徒の汗と熱気。自分がこの夏を過ごしたクーラーの効いた自室やクーラーの効きすぎた塾の教室とはまったく違う。生きている!と感じる香りだ。
少しずつ校舎に近づく。あたしはテンションが上がって、玉須川にくっついた。あたしの勢いに押されて、玉須川はよろよろと倒れそうになる。腕を引っ張って、倒れないよう支える。玉須川が怒ると思ったので瞬時に言い訳を考えていたけど、いつものような返事はなかった。笑っているような、泣いているような顔であたしを見つめる。ものすごく怒っているのだろうか、と考えてみたが、それほどのことをしたとは思えない。ではなぜ?
そうこうバタバタしながら、下駄箱に近づくにつれて、玉須川の身体は固くなっていくようだった。はてはて。
あと1mで自分の下駄箱というところで、玉須川は地面に座り込んでしまった。
あたしはさっきくっついた時、倒れそうになってどこかひねったりしたのかと思った。けど、どうやら様子がおかしい。
「大丈夫?」
反応がない。
「おーいおーい」
 反応がない。
 顔を近づけてみる
 何か言ってるようだけど、聞き取れない。小さい声、というか弱った声だ。
 周りは、あたしたちを避けるように、普通に通り過ぎて、靴から上履きに履き替える。
 友達は少ないかもしれないけど、この状況で誰も声をかけないなんて、なんかおかしい。
 ただ、いま周りのみんなに憤っていてもしかたがない。玉須川の肩を撫でる。
 少し震えてる。
「どうしたの」と耳元で優しく聞く。
すると、ゆっくりと腕を上げて、下駄箱を指した。丁度、玉須川の上履きのある位置。
あたしは下駄箱に近づく。
あたしは目を疑った。
上履きがあるべき場所に、バジリスク――ニワトリと蛇のハーフ獣で、頭はニワトリで尻尾が蛇の生き物――の死骸が置いてあった。
気が付くと、周りに人はいなかった。
二人だけだった。
チャイムの音が、校舎の隅々まで、鳴り響く。
これは、宣戦布告だ。

             ☆

 魔法学校にも保健室はある。なんでも魔法で治るわけではない。いや、上級魔術師になれば、治せないことはないけど、学校というところは魔法になるべく頼らないようにする場所なのだ。そういう常識だ。
「何があったのよ。なんでも話しなよ」
カーテンの奥で、布団をかぶった玉須川にあたしは言う。
 あの後、玉須川を背負って、下駄箱から保健室まで運んだ。
 保健の先生は留守だったので、勝手に中に入って、ベッドに寝かせて、あたしは少し硬いソファーに座って、あれについて考えていた。
 ちょっと前に、ずっと静かだったカーテンの向こうから、玉須川が微かに動く音が聞こえた。なので、声をかけてみたが、反応がない。んーだいぶダメージがあったみたいだ。
まあ、そりゃそうだ。
新学期そうそう、自分の下駄箱に、バジリスクの死骸。
たちの悪いイタズラ。いや、イタズラじゃ済まない。
 そんな怒りを抑えながら、玉須川に再度声をかけてみる。
「おーいおーい」
 声をかけながら、ベッドに近づく。カーテンを勢いよく開ける。
 玉須川は、ベッドに腰掛けながら、毛布を頭からかぶって、泣いていた。
 横に腰を下ろす。
 そして、そっと身体を撫でてあげる。
 しばらくそうしていると、落ち着いてきたようだった。
 あたしは、玉須川を撫でながら、保健室の窓から見える空を見ていた。雲一つない晴れ。少し気味が悪かった。
 落ち着いてきたようなので、表情を覗こうと、視線を向けると同時に、ゆっくりと話をはじめた。
「あのね、最初は気のせいだと思ったの」
 どうやら事の起こりは、夏休みの委員会総会まで戻るらしい。
 夏休みも半分が過ぎたころ、委員会総会は開かれた。
 生徒会を頂点に、各委員会に所属する生徒が登校しないといけない。
 玉須川は、生徒会長ではなく、図書委員長だ。二年生の終わりまで生徒会に所属していて、誰もが次期生徒会長は玉須川だと思っていたが、本人の意思によって三年生に進学した時、図書委員会に入った。最初は、委員長職も嫌がっていたのだけど、丸め込まれて、委員長に。いやいや、これらは今回の件に、ほとんど関係ない。
 最初の異変は、委員会総会の朝、起きた。
 下駄箱に、上履きがなかった。
 何人かの人に聞いたけど、誰も知らないと答えた。
 そして、スリッパで午前中過ごしていると、校内放送で、呼び出された。
 飼育小屋の中にあったという。
先生は玉須川が飼育小屋に入って忘れたんじゃないかと言った。
玉須川は、バジリスクが好きだった。なので、生き物係ではないけど、頻繁に飼育小屋に通っていた。
 それからも、何度か学校に登校する機会があった。
 図書室の本を全て棚からだして、状態や欠損などを調べる日。
 上履きの中に、ぬめりのある鱗が。
生き物係の代理で、バジリスクの様子をみる日。
上履きの中に、まだ生きている幼虫の入ったハチの巣が。
 魔法省への就職の件、そろそろ決めないかという先生に呼び出された日。
 上履きの中に、器用に結ばれた藁人形が。
 それでも玉須川は、ちょっとしたイタズラだと思って、事を大事にしないように、誰にもそれらのことを言わなかったのだ。
 それでも、今日のは一線を越えている。
 玉須川が大切にしていたバジリスクを。
 話を聞き終わると同時に、あたしは下駄箱に走った。
 思った通りだった。
 玉須川の下駄箱には、もうバジリスクの死骸はなかった。
 顔を近づけて匂いを嗅いでみる。微かに血の匂いがしたが、消毒したような匂いが勝った。誰かが片づけたのだ。一瞬幻覚を見せられたのかと思ったが、そうではない。これは、本当に起こっていることだった。
 今度は、玉須川を一人にしていることに気が付いて、慌てて保健室に戻った。
 保健室の扉は、出るとき開けたままだったはずなのに、閉まっていた。誰かいる。
 扉に、静かに近づく。耳を澄まして、中の様子を感じ取ろうと努力する。
 保健室の中から声が聞こえた。
「警告したのに」
 あたしは扉を静かに、ゆっくりと開ける。
「何度も警告したんだけど、なんで気が付かないのかしら」
 少し隙間ができた。そこに耳を入れる。
「黙っていては分からないわ」
 聞いたことのある声だった。
 凛々しくて、優しくて、品のある声。
「玉須川さん。あなたがいると迷惑なのよ」
 玉須川の声は聞こえてこない。もう少し扉を開ける。人影がカーテン越しに見えた。ベッドに腰掛けた玉須川に対面して立っている人影。長身で、とても姿勢が良い。
「邪魔なのよ、分かる?」
 玉須川が、カーテン越しにも震えているのがわかった。
 どうにかしないといけない。
 相手は誰?
 声は聴いたことあるけど、分からない。
 もう少し近づこうと、扉を身体一個分開けて、静かに部屋の中に入る。
 気が付かれないギリギリまで近づこうと、静かに音を立てないように、足を出す。
「あなたさえいなければ、私が魔法省に推薦でいけるのよ」
 そう、凛々しい声の主は言い放った。
その時、さっき少しだけ開けてあった窓から、風が入り込んできた。生暖かい夏の風が、二人の人影を投影していたピンク色のカーテンを揺らす。
そして再度、風が、今度はさっきよりも強めの風が、侵入してきた。
カーテンは大きなうねりを起こしながら、さも踊っているかのように激しく揺れた。
カーテンが持ち上がった。
そのとき、人影の主の横顔が見えた。はっきりと。
生徒会会長――卍乃継百合子――だった。
容姿端麗、成績優秀、まあ、絵に描いたような生徒会長像をなぞったようなつまらない存在。そしてこれも定番だが、地主の家系で、親族に議員やら偉いやつが多いという。
しかし、魔法学校では、それほど、目立たない存在だった。
それが卍乃継百合子だ。
彼女が、ここまで個性的だったとは知らなかった。教師たちの言いなりなんだとばかり思っていた。生徒会はそういう機関だった。生徒のためではなく教師のための組織。生徒同士を見張りあわせ、教師の負担を減らすための装置。それも演技だったのか。
 まだ、卍乃継はこちらに気が付いていない。話を続けようとした。
「あなたは」ここで役者が大切なセリフを言うかのように少しためる。
「親殺しのクズ野郎なのに。ずるいわ。」

           ☆

「大丈夫、マミちゃん。ごめんね、私のせいで」
「気にすんなし」
 あたしは腕の傷を舐めながら、笑って返事をした。そして続ける。
「私のせいで」
「気にすんなって。それよりどうするかなぁ。次の手を考えておかないと。相手が相手だし」
 沈黙。
保健室から移動して屋上に来ていた。
 鳥の鳴く声が聞こえる。
「まあ、なんとかなるっしょ」
 こうなった以上、仕方がない。
「でも、文魔祭での公開試験が」
 あ、すっかり忘れていた。文魔祭。一年に一度のお祭り。各クラス、各学年、各部活、各委員会が一年の成果を発表する場所でもある。そして、生徒個人で臨む公開試験。三年間で覚えた集大成を卒業前に披露する試験。
 この試験にはもうひとつ意味がある。内申である。
 進学するにしても、就職するにしても、この公開試験の内容が大きく影響する。
 あたしの場合もこの試験は大切なのだ。あたしが行きたい大学には、あたしの実力だと少し難しい。夏休み返上で、勉強はしたけど、やっぱり模試とかの結果をみてもこのまま勉強していって、スムーズに合格かと言えば、五分五分だろう。そうなると、その内申点が重要になってくる。少しでも下駄をはければ、それに越したことはない。
 けど……。
「マミちゃん、魔法、使える?」
 様子を伺うように、怖がるように、玉須川が聞いてきた。
「使えないみたい」
 あたしは、魔力を失った。
 魔法三原則を破ったから。

2014年11月 8日 (土)

まぼろしの美少女を追え サンプル(作・湯浅祥司)

 学校のあちこちで賑やかな声や音が響き、辺り一帯は食べ物のいい匂いに満たされている。
 今日は文化の日。俺の通っている私立河見(かわみ)高校では河見祭(かわみさい)――いわゆる文化祭が開催されていた。
 教室やグラウンドは軽食の模擬店やオバケ屋敷などの出し物に使われ、体育館は演劇部や軽音部などのステージへと様変わりしている。廊下や校門などは随所に飾り付けがされており、普段は退屈で面白味のない校内風景がこの日ばかりはどこも新鮮に映って見飽きることがなかった。
 もちろん、学校全体の雰囲気も大きく違う。
 いつもならクスッともしないような他愛もない会話で大笑いをする連中、意味もなくソワソワして落ち着かないヤツ、興味深げな顔をしながら廊下をうろうろ見て回る他校の生徒、学校見学にやってきたと思われる中学生――。
 河見祭に参加しているみんなの表情が活き活きとしていて、かなりテンションも高かった。
 俺もその空気に影響され、少し気分が高揚している感じだ。おかげで自宅を出る時は熱っぽくて頭痛もしていたのに、今はそれが気にならなくなっている。文字通り『病は気から』といったところだろう。
「――達川(たつかわ)っ!」

 廊下を歩いていた時のことだった。不意に後ろの方から俺のことを呼ぶ声が聞こえてくる。足を止めて振り向くと、そこには爽やかな笑みを浮かべて駆け寄ってくる長谷部有希(ルビ・はせべゆき)の姿があった。
 勝ち気な瞳に大きな丸い目。肌には張りがあって血色も良く、サラサラとしたセミショートの黒髪は風になびいている。制服の茶色いブレザーは、季節に関係なく袖を少し捲っているのがいつものスタイルだ。
 こいつとは中学が同じで、高校の三年間に至ってはずっとクラスが一緒という腐れ縁だった。
「達川ぁ、ちょっと頼まれごとをしてくんない?」
 長谷部は俺の目の前に立ち、上目遣いでこちらを見つめながら両手を顔の前で合わせる。

 …………。

 ……嫌な予感がした。つーか、嫌な予感しかしない。
 こいつがこういう態度を取るのは、決まってメンド臭くて厄介なことをさせられる時だからだ。
 となれば、選択肢はただひとつ――
「――俺は忙しい。じゃーな」
 素っ気なく言い捨て、長谷部に背を向けて逃走を図ろうとした。

 だが、長谷部はその行動を予測していたかのように先んじて動き、俺の肩をゴリラ並みの力で掴んでこちらの動きを抑え込んだ。
 そしてまるで『全てお見通しだよっ♪』とでも言わんばかりに、ニッコリと満足げに微笑む。
「どっこへ行っくのかなっ? 達川陽斗(はると)くぅん?」
「あ……いや……その……だ、だからこれから用事が――」
「へぇーっ? 用事ってなぁに? 帰宅部だから部の出し物に参加するってことはないよねぇ? 一緒に校内を見て回る彼女だっていないしぃ、クラスの模擬店には顔を出す気なんて更々ない。バイトもしてない。どうせ今だって、当てもなくブラブラしてたんじゃないのぉ?」
「う……」
 悔しいけど何もかもおっしゃる通りで、ぐうの音も出なかった。
 さすが付き合いが長いだけに、俺のことをよく知っている。事ここに至っては、下手な言い訳は通用しないだろう。
 だからといってダッシュで逃げようにも、不意を衝けない今の状態での成功率はほぼゼロパーセント。剣道部長をしている長谷部に、帰宅部の俺が運動能力で勝てるわけがない。
 もはやこれは白旗を揚げざるを得ないか……。
 観念した俺は、やれやれと肩を落として深い溜息をついた。
「……しょうがねぇな。話だけは聞いてやるよ」
「サンキュ! えっとね、達川には人捜しを手伝ってほしいんだ」
「人捜しって、誰を捜すんだ?」
「まぼろしの美少女だよッ!」
 長谷部の瞳の奥ではメラメラと炎が燃えていた。
「はぁっ? 誰だよ、それ?」
「達川は去年の後夜祭で行われたミスコンのこと、覚えてる?」
「あぁ、お前が優勝したってんだろ? 一年も前の話だってのに、未だにそれを自慢したいのか? ――はいはい、すごいすごい」
「そのわざとらしい棒読み、イラッとするんだけど……ッ!」
「細かいことは気にするな」
 俺がニヤッとすると、長谷部は呆れ返ったような顔をしながら嘆息を漏らした。そして小さく咳払いをしてから話を続ける。
「そのミスコンの決勝で出場を辞退した落合戸菜理(おちあいとなり)って子がいたでしょ? その子が一部の生徒の間でまぼろしの美少女って呼ばれてるんだよ」
「あっ、それを聞いて思い出した! 確かにいたなぁ、スゲェ可愛い子が! 純真無垢で清楚な感じがいかにもお嬢様って感じでさ、ぜひともお近付きになりたいもんだ」
「……っっ!」
 長谷部はなぜか俺のことを鋭い目つきで睨んだ。わずかに下唇も噛み締めている。
 もしかして自分以外の女子が褒められて悔しいんだろうか? それにしては不機嫌すぎるような気もするんだけど。
 ……まぁ、考えても分かるわけじゃないし、訊いても教えてくれないだろうから見て見ぬ振りをしておこう。
「で、俺がその落合戸菜理ってヤツを捜すとして、長谷部はそれでどうしたいんだ? まさか剣道場の裏へ連れ込んで、竹刀でボコボコにっ!?」
「するわけないでしょーがっ! むしろアンタをそうしてあげよっかっ?」
「じょ、冗談だって! 間に受けんなよ……」
 本気の殺意らしき気配を感じ、俺は思わず後ずさりをする。
「だったら茶化して話の腰を折らないで!」
「……はい」
「私は今年のミスコンでまぼろしの美少女とハッキリ白黒付けたいの。このままじゃ納得できないし。だから達川にはその女子を捜して、今年のミスコンへの出場を頼んでほしいんだよ」
「なんで河見祭の当日になってそんなことを言ってんだ? その子に事前に頼んでおけばよかったのに」
「それができるなら、最初からそうしてるよ……」
 長谷部は視線を落とし、苦虫を噛みつぶしたような顔をする。
「どういうことだ?」
「去年の河見祭の翌日、彼女になんで辞退したのか理由が訊きたくて、名簿でクラスを調べたんだ。もしかしたら、出場を辞退しろって誰かから圧力がかかったのかもしれないでしょ? 過去のミスコンでは、そういうことがあったみたいだし。そんな卑怯なことがあったとしたら、私は絶対に許せないから――」
 自然と握られていた長谷部の拳には力が入っていた。
 曲がったことが大嫌いで、義に反していると思ったら相手が誰であろうと正そうとする。そのせいで敵を作ることも多いけど、だからこそ慕っているヤツも多い。
 俺も長谷部のそういう性格、嫌いじゃない。
「――だけど落合戸菜理って名前の生徒、名簿には載ってなかったんだよ。丁寧に何度も確認したから、見落としはないと思う」
「それは興味深い事実だな。ということは、偽名で参加登録をしてたってことか? ――いや、待てよ? 他校の生徒がうちの生徒だと身分を偽っていたってことも考えられるか……」
 河見高校は周辺地域で最も生徒数の多いマンモス校なので、同学年であっても顔を知らないヤツなんてザラにいる。
 だからミスコンへの参加登録時に偽名を使ってもすぐにはバレないだろうし、うちの制服さえ着ていれば他校の生徒であっても紛れ込むことができるかもしれない。
 だが、そんな感じで色々と考え込んでいた俺に対し、長谷部は微苦笑を浮かべる。
「他校の生徒って可能性はないよ。まぼろしの美少女がうちの一年生――つまり現二年生だってことは、参加者登録を担当していたミスコンの実行委員長に確認したから。でもプライバシーの保護を理由に、それ以上のことは最後まで教えてくれなかったんだ。その人は今や卒業しちゃってて、行方を知らないし」
「じゃ、打つ手なしじゃん」
「私もそう思って諦めてたんだけど、今年の河見祭でまぼろしの美少女を見かけたって噂を聞いたんだよ。それも結構な数の目撃情報があるみたいでさ」
「ふーん……そうなのか……」
「だからお願いっ! 捜すのを手伝って! みんな忙しくて、達川のほかに頼める人がいないんだよ! 私も剣道部のクレープ屋が落ち着いたら捜すからさ!」
 額の前で手を合わせ、頭を下げる長谷部。その真剣な雰囲気から本気度の高さが伝わってくる。
 確かに俺たちは三年だから、決着をつけるなら今年のミスコンが最後のチャンスだもんな。それにここまで聞いた上で断わるのも気が退けるし、手伝ってやるか……。
「よし、引き受けた。ただ、結果はあんまり期待すんなよ?」
「やったぁ! ありがとっ、達川!」
 長谷部は満面に笑みを浮かべると、両手で俺の右手を握り、その場でピョンピョンと飛び跳ねた。
 握られている手に伝わってくる熱い体温と、柔らかい中にもマメで所々が硬くなった手のひらの感触。そしてなびいた髪からはシャンプーのいい匂いが漂ってくる。
「あ、報酬は唐揚げ弁当でいいよね? 達川って唐揚げが大好物だったでしょ? 河見祭の振替休日明けに用意するからさ」
 唐揚げ弁当というのは、購買部の人気メニューのひとつだ。しかも一日の入荷数が少なく、いつもすぐに売り切れてしまってなかなかお目に掛かることはできない。
 おそらく長谷部は部長権限を発動して、剣道部員の誰かにゲットさせようということなのだろう。
 報酬なんて期待してなかったけど、長谷部から言い出したことだし断わる理由もない。だから俺はありがたくその厚意を受け入れさせてもらうことにしたのだった。

 校舎三階の一室。ここでは写真部が写真展を開いていた。
 来場しているのは、生徒の保護者らしきお年寄りがひとりだけ。賑やかな河見祭の中にあって、ここだけは異様なくらいに静まり返っている。
 展示されているのは無難な風景写真や人物写真といった地味なものばかりなので、興味を示す生徒が少ないのだろう。アイドル写真やネタ写真なんかがあれば、もう少し状況も違っているんだろうけどな。
「おーい、淀川(よどがわ)はいるかー?」
 俺は展示スペースの裏に設置されている写真部員用の控えスペースに向かって声をかけた。すると奥から太い黒縁メガネの男がユラリと気怠そうに現れる。
 ――写真部長の淀川智仁(ともひと)。
 やや鋭さのある目と通った顔立ち、クールな雰囲気が漂っていて清潔感もある。外見だけなら女子に人気があってもおかしくない風貌だ。
 でもカメラヲタクということや教室でも堂々とグラビア写真集を眺めてニヤニヤするといった残念な趣向が災いして、好感度がなかなか突き抜けていかない。
 俺と淀川は一年の時に知り合って以来、今でもよく遊ぶ悪友のひとりだった。
「おぉ、達川か。何か用か? まさかうちの写真展を見にきた――ってことはないよな?」
「とある写真が入り用になったもんでな。買いにきたんだよ」
 その言葉を聞くなり、淀川の瞳がキラッと輝く。
「おおっ!? それはそれはっ! で、誰のどんな写真が欲しいんだっ?」
 淀川は身を乗り出し、怪しく口元を緩めながら興味津々で俺の返答を待っている。
 ――こいつは校内や行事などで自身や部員が撮影した人物写真を生徒たちに販売するという商売をしていた。
 大抵のニーズは密かに好意を寄せる相手の写真が欲しいといったものだが、そこは買い手が思春期真っ只中の高校生。中にはエッチな写真のニーズもあって、そういうものも取り揃えているらしい。
 もちろん学校は何も知らない。淀川が認めた『仲買人』しか写真を買うことができないシステムにして、取引の秘密を守っているからだ。仲買人は風紀委員や教員などによる摘発のリスクを負う分、中間マージンを得られたり淀川コレクションと呼ばれる極秘写真をもらえたりといったメリットを享受している。
 ただし、俺は淀川の悪友ということで直接取引が認められている、数少ない人間のひとりだった。買うのは今回が初めてだけど……。
「去年の後夜祭のミスコンに現れた、まぼろしの美少女の写真が欲しいんだ。お前なら持ってるだろ?」
「ほほぉ、なかなかレアな写真をご所望で。もちろん持ってるさ。俺の商品ラインナップに抜かりはないよ。ちょっと待ってくれ」
 淀川は控えスペースの奥からタブレット端末を持ってくると、ディスプレイを指で操作して画像データを検索していった。
 そして程なくその中からひとつのデータを選択し、拡大表示させて俺に見せる。
「ほら、この子だろ?」
 まさにそれはまぼろしの美少女の写真だった。
 色白の肌に整った目顔、ストレートの艶々としたロングの黒髪。純真無垢な笑顔には思わず見とれてしまうほどだ。
 こうして間近から撮影された写真をじっくり見てみると、いい意味で印象が違う。ミスコンはステージから遠く離れた場所で見ていたんだけど、その時と比べて数倍は可愛く感じられる。
 ――それにしても、さすが淀川だ。
 ピントや構図、コントラスト、最高の一瞬を切り取る絶妙のシャッタータイミングなど、撮影の腕が確かなのは認めざるを得ない。写真部長という肩書きは伊達じゃないってことだな。
「彼女は需要が高い割に撮影された写真がほとんどなくてさ、だからちょっと値が張るんだ。サービス判プリントが千円ね」
「ちょっ! 写真が一枚千円もするのかよっ? お前、足元を見やがって!」
「それは心外だな。通常小売価格は千五百円なんだぞ? でもお前は友達だからサービスしてやったってのに……」
 淀川は口を尖らせているが、今の言葉が本当なのかどうかは別の話だ。
 千五百円が千円になったという部分だけ聞けば、確かに安く感じる。でも冷静に考えれば、写真が一枚千円なんて明らかに高いし、普段の価格が千五百円であるという証拠だってない。
 なにより俺は以前、淀川から写真を買ったという友達から一枚三百円だったという話を聞いたことがあるのだ。だからそのつもりでいたのに、まさかその三倍以上の値段を吹っかけてくるとは想定外だった。
 これでは長谷部から報酬として唐揚げ弁当を受け取ったとしても完全に赤字だ。だからといって写真なしで人捜しをするのは厳しいものがある。
 やはり買わざるを得ないか……。
 無意識のうちに俺は溜息を漏らしていた。そして白い眼で淀川を見る。
「あのなぁ、お前の写真は価格設定が高すぎ……。もう少し負けろよ……」
「はっはっは! 分かってるって! ほかならぬ達川の頼みだ、五百円にしておいてやるよ。ちなみに白状するけど、通常小売価格が千五百円ってのは駆け引きのためのハッタリだ。でもその写真、普段はホントに千円で売ってるんだぜ?」
「そんな値段をつけてて売れるのかよ?」
「俺のところへ来るヤツのほとんどは買うよ。もっと高値がついている写真だって、当たり前のように取引してる。考えてもみろ、お望みの相手の写真が欲しいけど自分の力じゃ手に入らないからこそ、なりふり構わず俺みたいなクズを頼るわけだろ?」
 淀川は得意気な顔をしながら同意を求めるような目を向けてくる。
「クズって自覚はあるんだな、お前……」
「当然! そうじゃなきゃこんな商売はやってられないって。で、その写真、買うんだろ?」
「あぁ、買うよ。お前の言うように、ほかに当てはないからな」
 俺はポケットから財布を取り出し、中に入っていた五百円玉を一枚掴んで淀川へ手渡した。
「毎度ありーっ!」
 ホクホク顔になった淀川は、鼻唄を歌いながら写真をプリントしに写真部室へ向かうのだった。

 グラウンドの西側では、運動系の部が主に軽食の模擬店を出店していた。どこも大きな声で威勢よく呼び込みをしており、その活気に誘われて人もたくさん集まってくる。間違いなく河見祭で一番賑やかなエリアだ。
 そこに着いた俺は、知り合いのいる模擬店を中心にまぼろしの美少女について聞き込みをしていった。もちろん、移動中はすれ違う女子の顔を注意深く確認することも忘れない。
 そしてバスケ部のおでん屋で聞き込みを終え、陸上部のポップコーン屋へ向かって歩いている時のことだった。
「あっ、達川先輩!」
 正面からやってきたそいつは、俺の姿に気付くや否や爽やかな笑みを浮かべてこちらへ駆け寄ってきた。
 中野望(なかののぞみ)。うちの高校の二年生で、柔道部に所属している男子だ。
 ただ、中性的な顔立ちと百六十センチメートルに満たない身長、撫で肩で細い体格などから遠目には女子にも見える。
 俺たちが知り合ったのは去年の春で、きっかけは河見駅前で他校の不良たちにカツアゲされそうになっている中野を俺が助けたことだった。それ以来、何かと交流がある。
「よぉ! 楽しんでるか?」
「いえ、午前中は柔道部が出店している焼きそば屋で店番をしてまして。やっと交代になって、これから見て回るところなんです」
「そうだったのか。それはお疲れさん。――あっ、そうだ。中野はこの写真の子を見たことはないか? わけがあって捜してるんだ」
 俺は悪徳商人の淀川から購入した写真を中野に見せた。
 すると直後、中野は大きく息を呑んで目を丸くする。
「こ、これはっ?」
「去年の後夜祭のミスコンに出場した、まぼろしの美少女だ。今年の河見祭で彼女を目撃したってヤツが結構いるらしいんだよ」
「……そ……そうなんですか? へぇ……」
 中野の声は微かに震えていた。なんとなく上の空な感じで、ボーッとしている。
 ひょっとすると、まぼろしの美少女に一目惚れでもしたのだろうか? 確かにそれだけ可愛い子であることには違いないけど。
「――心当たりはあるか?」
 その問いかけに中野はハッとすると、気を取り直すように小さく咳払いをする。
「えっと、残念ながら僕は見ていません。少なくとも柔道部が模擬店を出している近辺には現れていないですね」
「そっか、サンキュ。……だとすると、グラウンド東側と校舎内を探した方が良さそうだな」
「達川先輩、どうしてその人を捜しているんです? もう少し詳しい話をお訊きしてもよろしいですか?」
「あぁ、実はな――」
 俺は長谷部に捜索を頼まれたことやその理由、ここまでの調査結果などを掻い摘んで説明した。もちろん写真の入手ルートに関しては、うまく誤魔化したけど……。
「――というわけだ」
「そうだったんですか……」
 終始神妙な面持ちで訊いていた中野は、納得したように小さく頷く。
「じゃ、俺はそろそろ行くよ」
「あのっ! 達川先輩っ!」
 俺がその場を立ち去ろうとした瞬間、中野は真っ直ぐこちらを見つめてきた。その凛々しい瞳には何かを決意したかのような意志の光が灯り、一点の曇りもない澄んだ輝きを放っている。
「うん? どした?」
「僕も一緒に行っていいですか? ひとりで会場を見て回るのも寂しいなぁって思っていたところだったんです。それともお邪魔……ですか……?」
「いや、別に構わないけど。お前さえそれでいいんならな」
「ありがとうございますっ!」
 中野は嬉しそうな顔をすると、俺に向かって深々と頭を下げた。
 そこまで感謝されるようなことでもないと思うんだけどな……。

2014年11月 2日 (日)

男一匹元気が出るディスコ Season3 表紙公開!

男一匹元気が出るディスコ Season3
「史上最大! ぜんまい仕掛けの流星フェスティバル」
表紙担当者発表と表紙を公開します!

Season3 の表紙担当者は

黒井みつ豆 様!
【As公式研究所】

表紙担当者 選出理由

今回のポイントは、

・オリジナルが描ける
・美麗で教科書的な絵よりも、個性重視。とにかく絵に独特な雰囲気と世界観を持っている
・色使い(同人誌のイメージ的に、カラフルな雰囲気を醸し出せそうな人)
・意欲的
・(おまけ)既に会ったことがある人

となります。
特に、個性重視の部分。
既にSeason1・2をご購入いただいた方は分かるでしょうが、この企画は個性的な作品が多いです。過去2回の表紙も非常に個性的でした。
オリジナルの感性が全面に出ている方に是非ともお願いしたく、その結果、黒井様にお願いすることになりました。

 

そして、運よく、先方には快く承っていただきました。
それを受け、こちら側は下記のようにイラストを依頼。

〇作品テーマ
「伝説の文化祭」

〇本のタイトル

「史上最大! ぜんまい仕掛けの流星フェスティバル」

〇作品イメージ
「文化祭」と本のタイトルをテーマにして描いていただけますでしょうか。
文化祭のイメージは作者の方にお任せします。現実的な文化祭はもちろん、独自の世界観から導き出した架空の文化祭でも構いません。
本そのものが明るい内容を想定しています。表紙もまた、全体的に明るい色合いでお願いできますでしょうか。

その他、イラストのイメージを数値化して提示。
結果、出来上がった作品が……

ドロドロドロ……

 

 

 

Hyoshis_2_1  

はい、ドッスン!

こちらになりました!!

素晴らしい!

見事に色鮮やかで、Season3の他作品とシンクロした賑やかさと文化祭ならではのパーティー感が溢れています。絵から、その文化祭の盛り上がりがうかがい知れますね。
ここまで本の意図を汲みしていただけるとは、本当にありがたいです。
こちらの提示した依頼を汲み取り、世界を想像し、構築していく。こうした作品を通して作家のすごさを実感できます。
脱帽ですね。

さて、こちらの本が並ぶのは……??

そうです、まずは11月23日のコミティア110から!

もうすぐです。

期待してお待ちください。

 

2014年6月29日 (日)

Season3 各参加者のお題とレベル決定!

本日、お題割振りとレベル確定作業をしてまいりました。
その結果を下記に公表します。
ちなみに、レベルの数字は 1が縛りがゆるく、4が一番縛りが強いという意味を差します。

ニセ生物 さん
お題「伝説の樹の下の下で」
レベル4
内容  軽音部によるアフターライブも終わり、各々が一抹の寂しさを抱きながら家路につく、学園祭を終えた夜。人気もまばらな薄暗い裏庭で向かい合う、男子生徒と女子生徒がいた。

「ごめん、実は俺……!」
 彼は彼女に、九十度角で腰を折り頭を下げた。どうしても口に出して謝らなければいけない、ある罪を、ある罪悪感を、彼は彼女に抱いていたのだ。普通に伝えるだけでは決して許してはもらえないであろう、重くどろどろとした罪の意識。

 だが、この学校には伝説があった。
 この桜の樹の下で、この樹の下の下に埋まっているそれを使う事で、かつて様々な罪が許され、受け容れられてきたと、この学校には伝わっていた。

「お前んち燃やしたのあたしなの!」
「おっけー!」

「君のパパの会社、がっつり敵対買収したの俺なんだ!」
「おっけー!」

「やーい、お前の母ちゃん床上手~!」
「おっけー! 俺もそう思う!」

 普通では考えられないほどの重罪が、この日この時それを使う事で、何故かすべて受け容れられ許されてきたというのだ。
 彼は一縷の望みを賭して、文化祭の喧騒の中、樹の下のそれを掘り出していた。そして今それを手にし、勇気を振り絞って呼び出した彼女と対峙している。
「本当に! ごめんなさい! 俺は……!」

 彼の謝罪を、彼女は受け容れるのか。
 告白の伝説はこの日、その正体を明らかにする。

伝説のアイテム(?) 裏庭の桜の樹・樹の下に埋められていたそれ・「え、こんなもので許してくれるの……?」

 

湯浅 祥司 さん
タイトル「まぼろしの美少女を追え」
レベル1

宮海 勝乃 さん
タイトル「侵略する帰宅部たち」
レベル1

スカジ さん
タイトル「オモテナシ朝顔」
レベル1

クロフネ三世
タイトル「文化祭の休日」
レベル4
内容 今年も休みだと嬉しそうにする男子生徒。
こんな楽しい事があるよと説明するヒロイン。
かなり力説するヒロイン。
「分かった!お前に真の文化祭を教えてやる!」と叫ぶ男子。
文化祭当日、出席した男子を見て喜ぶヒロインであったが、
「ついてこい」と男子に引っ張られたのは校外であった。

伝説のアイテム
(クロフネが追加) 焼きおにぎり

店長 さん
タイトル「消された魔法」
レベル4
内容 魔法学園文化祭では、生徒たちはそれぞれに修得した魔法を使って来場者を楽しませなければならない。
だが、主人公は数日前の規則違反により学園祭期間の間魔法を封じられていた。
一人全く学園祭を楽しめない主人公。しかし、主人公は文化祭メインステージにて奇策に出、魔法を使わずに観衆を沸かそうとするのである。

伝説の生き物 喋るハシビロコウ

・マーケット くん(参加未定)
タイトル「電設の三年生」
レベル3
内容 男所帯も甚だしい、都内某所の淀橋工業高校。
デジタル・アナログ問わず、機械分野にそれなりに興味や知識を有する野郎どもが、
日々青春の汗とオイルとハンダ臭をだだ漏らしにしていた。

そんな彼らに受け継がれる、ひとつの伝説がある。
かつてこの高校には、教員をも黙らせる最も高い技術と成績、
そして最もヒドい性格を誇った謎の三年生が存在した。
曰く、『電設の三年生』。
彼はこの工業高校の校舎全体に謎の回路と電気設備『伝説の電設』をしかけ、
その機能や仕様、所在など全てを内密にしたままで、卒業していったという。

どういうロジックのカレンダーを仕込んであるのかも知りえないが、
その設備は何故か文化祭当日にだけ必ず起動して、校舎全体に様々な影響をもたらすらしい。
そして最後には必ず、日常生活では想像し得ない奇跡を残し、また眠りにつくのだという。

その伝説を一目見んと、一流進学校の合格を蹴って入学した秀才新入生、ヤマダ電子(でんこ)。
入学から半年かけて調査を進めてきた彼女と、『伝説の電設』の対決が始まる……!

2014年6月28日 (土)

Season3 お題発表

男一匹元気が出るディスコ Season3 に使われるお題候補一覧表

一つのお題には、「伝説のタイトル」「伝説の内容1(話の内容を1行程度で説明する)」「伝説の内容2(話の設定部分や序盤から中盤に向けての流れを説明)」「伝説のアイテムや人物、セリフなど」 以上の4項目がある。このうち、ゲームの結果によって各メンバーの「縛り(レベル)」が設定されることになる仕組み。
つまり、ゲームで高得点を取れればお題はタイトルや1行だけの説明のみが与えられる。
点数が低ければ、お題は序盤中盤を固める設定が割り振られ、最悪は作中に出さなければならないアイテムや人物が与えられる。
その設定を読者側から募集した。
(1部参加者自身からの投稿も)


タイトル「電設の三年生」
内容1 とある工業高校の校舎全体に仕組まれた謎の回路が、文化祭に奇跡をもたらす。
内容2 男所帯も甚だしい、都内某所の淀橋工業高校。
デジタル・アナログ問わず、機械分野にそれなりに興味や知識を有する野郎どもが、
日々青春の汗とオイルとハンダ臭をだだ漏らしにしていた。

そんな彼らに受け継がれる、ひとつの伝説がある。
かつてこの高校には、教員をも黙らせる最も高い技術と成績、
そして最もヒドい性格を誇った謎の三年生が存在した。
曰く、『電設の三年生』。
彼はこの工業高校の校舎全体に謎の回路と電気設備『伝説の電設』をしかけ、
その機能や仕様、所在など全てを内密にしたままで、卒業していったという。

どういうロジックのカレンダーを仕込んであるのかも知りえないが、
その設備は何故か文化祭当日にだけ必ず起動して、校舎全体に様々な影響をもたらすらしい。
そして最後には必ず、日常生活では想像し得ない奇跡を残し、また眠りにつくのだという。

その伝説を一目見んと、一流進学校の合格を蹴って入学した秀才新入生、ヤマダ電子(でんこ)。
入学から半年かけて調査を進めてきた彼女と、『伝説の電設』の対決が始まる……!

伝説の人物・セリフ(どちらか好きな方) 『電設の三年生』と『伝説の電設』
かつて淀橋工業高校に在籍した、教員をも黙らせる最も高い技術と成績、そして最もヒドい性格を誇った謎の三年生。そして彼が校舎に残していったという謎の電気設備。

「おい仕様書はどこだ! 仕様書残さずに消えたのかよあいつは!」


タイトル「文化祭の休日」
内容1 文化祭は公的に休めると称してのらりくらりしながら、絶対に出席しない男子生徒。それを今年こそは出席させ、男子生徒に告白しようと意気込むヒロイン。
内容2 今年も休みだと嬉しそうにする男子生徒。
こんな楽しい事があるよと説明するヒロイン。
かなり力説するヒロイン。
「分かった!お前に真の文化祭を教えてやる!」と叫ぶ男子。
文化祭当日、出席した男子を見て喜ぶヒロインであったが、
「ついてこい」と男子に引っ張られたのは校外であった。

伝説のアイテム
(クロフネが追加) 焼きおにぎり


タイトル「気になるフォークダンス」
内容1 文化祭実行委員長の勘違いにより、後夜祭でのフォークダンスがとんでもないことに!
内容2 文化祭実行委員長は後夜祭で行なわれることになったフォークダンスを、フォークでバトルをするものだと勘違いしていた。
優勝者には学食のAランチの食券一か月分が出るという。
番長や不良グループ、運動部の面々がフォーク片手にバトルを繰り広げる。
しかし優勝したのは……。

伝説のアイテム
 覇王のフォーク


タイトル「灯火フェスタ」
内容1 遥か昔に廃止された後夜祭のキャンプファイアーを復活させる生徒会副会長の奮闘記
内容2 小さい頃に好きだった映画に描かれた後夜祭のキャンプファイヤー。いつか自分も最終学年になったらあのきらめく炎を大事な人や仲間と見るんだ。消防法、民法あらゆる合法手段でキャンプファイヤーを実現すべく駆け回る生徒会副会長の話
伝説のアイテム 100点のテスト用紙


タイトル「まぼろしの美少女を追え」

内容1 毎年、必ず男子高校の文化祭の売り子として現れる謎の美少女の正体を探る。
内容2 男子校の文化祭。売り子は当然、男のみのはず。
ところが毎年必ずその店では美少女の売り子が現れて、男子たちを魅了していく。
誰かが女装しているのか? それとも誰かの妹? 童貞の妖精が作り出したまぼろしか? 
関係者は口を閉ざすばかり。
そこで男子生徒たちはまぼろしの美少女の正体を探るために調査隊を結成する。

伝説のセリフ・人物 「なあ、世の中には、知らない方が幸せってこともあるんじゃないか?」


タイトル「鉄オタのチューチュートレイン」

内容1 鉄道研究部の男子が文化祭でホストクラブをやる。
内容2 女子にモテモテのテニスサークルのイケメンたちに愛する鉄道をバカにされた鉄道研究部の男子たち。俺たちだって、本気を出せば女の子を喜ばすことだってできる!
鉄道研究部は文化祭でホストクラブをやることにする。

伝説のセリフ 「女の子との距離は、離れすぎず近すぎず。白線の後ろに下がってから」
人物 (お好きな方を一つ)
刹夜(よみ:せつや)
歌舞伎町ホストクラブの伝説的ナンバーワンホスト。
文化祭でホストクラブをやる男子生徒にホストの心得を叩き込む。


タイトル「消された魔法」
内容1 主人公は規則違反により魔法を封じられていたが、魔法学園文化祭にて裏技を使って魔法を使わずに来場者を楽しませようとする。
内容2 魔法学園文化祭では、生徒たちはそれぞれに修得した魔法を使って来場者を楽しませなければならない。
だが、主人公は数日前の規則違反により学園祭期間の間魔法を封じられていた。
一人全く学園祭を楽しめない主人公。しかし、主人公は文化祭メインステージにて奇策に出、魔法を使わずに観衆を沸かそうとするのである。

伝説の生き物 喋るハシビロコウ


タイトル「オモテナシ朝顔」

内容1 茶道部の最高のおもてなしを受けるのは選ばれた一人だけ
内容2 浴衣でお茶会を開く茶道部。そのなかで有段者である部長のお手前は優雅につきるという。ただしそのおもてなしを受ける事ができるのは、部長のお眼鏡にかなうたった一人。最高のお客様の条件とは!?

伝説のアイテム 朝顔柄の浴衣


タイトル「侵略する帰宅部たち」

内容1 いつもひっそりとしている学校のどの組織にも所属していない連中が、部活・委員会中心の文化祭で突発的に大活躍する。
内容2 部活・委員会加入率98%を誇る高校の文化祭。毎年の主役は各部活や委員会なのだが、今年の文化祭は残り2%の帰宅部が台風の目となり、まさに台風のごとく文化祭を荒らしていく。帰宅部が通り過ぎたブースはどこも荒れ地と化す。
一体、残り2%の帰宅部とは何者たちなのだろうか? 彼らの隠された本当の姿とは?

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タイトル「伝説の樹の下の下で」

内容1 学園祭アフターの告白タイム! 裏庭の桜の樹の下に埋められたそれを使えば、想いが通じ、たとえどんな告白をしたとしても、相手はそれを受け容れてくれるという。
内容2  軽音部によるアフターライブも終わり、各々が一抹の寂しさを抱きながら家路につく、学園祭を終えた夜。人気もまばらな薄暗い裏庭で向かい合う、男子生徒と女子生徒がいた。

「ごめん、実は俺……!」
 彼は彼女に、九十度角で腰を折り頭を下げた。どうしても口に出して謝らなければいけない、ある罪を、ある罪悪感を、彼は彼女に抱いていたのだ。普通に伝えるだけでは決して許してはもらえないであろう、重くどろどろとした罪の意識。

 だが、この学校には伝説があった。
 この桜の樹の下で、この樹の下の下に埋まっているそれを使う事で、かつて様々な罪が許され、受け容れられてきたと、この学校には伝わっていた。

「お前んち燃やしたのあたしなの!」
「おっけー!」

「君のパパの会社、がっつり敵対買収したの俺なんだ!」
「おっけー!」

「やーい、お前の母ちゃん床上手~!」
「おっけー! 俺もそう思う!」

 普通では考えられないほどの重罪が、この日この時それを使う事で、何故かすべて受け容れられ許されてきたというのだ。
 彼は一縷の望みを賭して、文化祭の喧騒の中、樹の下のそれを掘り出していた。そして今それを手にし、勇気を振り絞って呼び出した彼女と対峙している。
「本当に! ごめんなさい! 俺は……!」

 彼の謝罪を、彼女は受け容れるのか。
 告白の伝説はこの日、その正体を明らかにする。

伝説のアイテム(?) 裏庭の桜の樹・樹の下に埋められていたそれ・「え、こんなもので許してくれるの……?」

 

 

以下、フリーのアイテム(ご自由に作中へ取り込んでください)

■伝説の場所
カップル成立率100%のお化け屋敷
その文化祭のお化け屋敷の最恐コースのラストで告白すると、心理学の吊り橋効果によって、確実にカップルが成立するという噂がある。


■人物
文化祭クラッシャーBABAA!
毎年、小難しいウンチクを並べ、文化祭の店に片っ端から難癖を付けて閉店に追い込む恐怖のババア。

2014年6月27日 (金)

Seson3 挑戦者たちの発表!

男一匹元気が出るディスコ Season3 を彩ってくれる挑戦者たちは彼らだ!!

Season3_sankasha

 

今回は、小説 3人、漫画 2人、ネタ投稿コーナー 1人 の合計6人だ!